先日入居者さんの喉にあるものが詰まって救急車をよびました。その時の話です。
年に1回ぐらいはこのような事に遭遇します。
詰まったのは重度の認知症高齢者女性。
嚥下にも問題があるので、食事はミキサー食です。
ある日のおやつの時間です。
その方のおやつはゼリーです。
ゼリーを美味しそうに食べ終えたのを確認し、スタッフが席を外しました。
しばらくするとその方が親指と人差し指で喉をつかむ「窒息のサイン」をしているではないか!
まさか、さっきのゼリーが今頃詰まった?!
しかも顔は真っ白で唇が青色です。
確実に意識が無くなる一歩手前です。
居合わせたスタッフがいっせいに動きました。
- 救急車に電話をする人
- 駆けつけて背部叩打法を開始している人
- 手袋をつけて口の中に手を入れる体制を作っている人
- ハイムリック法をしようと背中から手をまわしている人
- 最終手段の掃除機を用意している人
男性スタッフがハイムリック体制に入り、せ~のっ!っとやった瞬間…
「すぽん」と、何か小さいものが目の前にいたスタッフにめがけて飛んできました。
そしてコロコロっという音とともにどこかに転がっていきました。
その転がって行ったものをみんなで探すと…
何と、飴玉が一つコロっと落ちていました。
「だれ~!飴なんか食べさせたの~?」
もちろんスタッフではありません。
そこで周りをよく見まわしてみると…
飴の空が斜め前のおじいちゃんの前に…。
おじいちゃんは自分の飴じゃない、そんな物は食べた事がないと言います(笑)
そして結局なぜ飴がそこにあったのか分からずじまいでした。
その夜。
おじいちゃんの更衣の時、ズボンのポケットからさっきの飴が…
おじいちゃんは知らないと言います。
そこで、ふと思い出しました。
今日はおじいちゃんが家族と面会があった日です。
私たちの施設では、コロナ対策として、オンライン面会の他に、施設でのガラス越しの面会も取り入れています。その間はスタッフが席を外します。
もしかしてと思い、ご家族さんに電話してみると、「飴を3つ渡してしまった」と話してくれました。
優しいおじいちゃんはその飴をおばあちゃんにあげてしまったみたいです。
しかも丁寧に袋から出して渡してくれてのです(笑)
そんなこんなで、今回の件は出どころがはっきりとしたのでこれで一件落着。
ご家族さんには、おじいちゃんに食べ物を渡したいときは私達を介してもらうようにお願いしました。
そんなこんなで、発見が遅れたら大変なことになっていただろう今回の騒動についてのお話でした。
最後に、喉に食べ物が詰まった時の対処法について簡単にまとめます。
食べ物が詰まる場所は喉の他に気管があります。
喉の場合は、食べ物が徐々に詰まったり、詰まっても話ができたり、呼吸ができたりと、それほど体に急変が見られないのが特徴です。そして、水を飲んだら解決するケースが多いです。
それに対して、気管に詰まった場合は大変です。食べ物が喉ではなく、誤って気管の方に行ってしまうことを「誤嚥」といいます。まず、詰まる場所が気管の上の方か下の方かにもよりますが、大抵は上の方に詰まります。
誤嚥で上気道に異物が引っかかった状態は、非常に危険です!急速に窒息し、死に至ることもあります。
また誤嚥をすると、食べ物などの菌が肺に入ってしまい、肺で炎症を起こす事がよくあります。それを誤嚥性肺炎といい、誤嚥性肺炎で亡くなる高齢者は非常に多い事で有名です。
喉に詰まった時の対処法
救急救命の知識がない人が真っ先にすべきことは、救急車を呼ぶことです。
この時、必ず携帯電話で電話しましょう。上気道に異物が引っかかった場合、すぐに本人の意識と呼吸が無くなる可能性があります。
呼吸が止まってすぐにすべきことは心肺蘇生です。
救急に電話をしながら救急隊員の指示に従って心臓をマッサージすることになります。この時に携帯電話なら指示を聞きながら心肺蘇生を行うことが出来ます。
もしも詰まったと思った瞬間に余裕があったら、詰まった相手の頭を下げ、咳をしてもらうように促します。そして救助者が背中を強くたたく背部叩打法や、背中から抱え込むようにして相手の胃のあたりを押すハイムリック法などを使って詰まったものを吐き出させます。
私の経験では、詰まった側の意識があるうちなら、これらの方法を取って取り出せる事が多かったです。
認知症の高齢者にとって、飴はかなり危険な食べ物です。口が寂しいときはチョコレートなどいかがでしょう?
リンツのチョコ♥以前ご家族様からこちらのチョコを頂きました。嬉しかったなぁ~♪手土産には最高のアイテムですね。
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